ハドロン分子と$\chi_{cJ}(2P)$結合状態
Mar 20, 2025
Abstract
通常のハドロンは、クォークと反クォークのペアまたは3つのクォークから構成される。しかし、それでは説明が難しい異質なハドロンも存在し、そのような粒子はエキゾチックハドロンと呼ばれる。2003年にBelle実験で$X(3872)$が報告されて以来、チャームクォークを含むエキゾチックハドロンが数多く報告されている。
エキゾチックハドロンの内部構造にはさまざまなモデルが提案されている。例えば、すべてのクォークが1つにまとまったコンパクト状態、2つのハドロンが相互作用によって束縛されたハドロン分子状態などが考えられている。現時点ではどの構造が実際に支配的なのかは決着がついておらず、統一的な理解には至っていない。
また、チャームクォークを含むエキゾチックハドロンの中には、通常のチャーモニウムと同じ量子数を持つものが存在する。これらの粒子では、チャーモニウム成分の寄与を無視できないため、単なる4クォーク状態やハドロン分子状態ではなく、裸のチャーモニウム状態とハドロン分子状態の重ね合わせとして考えることが重要になる。
本研究では、$X(3872)$を含む$\chi_{cJ}(2P)$に関連するエキゾチックハドロンを統一的に記述するために、裸の$\chi_{cJ}(2P)$状態と$D^{(*)}\bar{D}^{(*)}$ハドロン分子状態の重ね合わせとして解析を行う。ハドロン分子の相互作用を記述するために、ベクターメソンを含むone boson exchange potentialを導入し、その影響を調べる。
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